23AW “FAROE ISLANDS”
『Faroe Islandsはノルウェーとアイスランドの中間に浮かぶ群島で、ノルウェー海と北大西洋に挟まれた冷たい海にあるデンマークの自治領です。
友人から見せてもらった写真のあまりに強い自然の風景に惹かれて、木も生えない、羊の数が人間より多い、この島の冬が23AWの旅先になりました。
Faroe Islandは自然と呼ぶよりも地球の生まれたままの姿でした。空と大地の境をなくす霧、岩肌から吹き出す凍りつく水の飛沫、苔で覆われた地面。人地と水の溜まり。まだ人類もいないような、地球の生命の息吹が感じられる。
霧の朧げなようす。水の飛沫の薄氷の色。大地の地層のグラデーション。海水と肌を守るための油を吸い込んだ毛を持つFaroeの羊。これらが今回のコレクションの色に、素材になりました。
崖の向こうの、碧みがかった冷たい灰色の遠く続く海と境のない空の遠くに浮かんでいる島々。崖の下の、動く海。崖の上の冷たい岩の上でそれを眺めていると、そのまま向こうに連れられて行って、自分がなくなるようでした。人類が作っているものが必要ないような。
それはもしかしたら人類がいなくなった後の風景なのかもしれない、と思いました。』
text by seya.