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WEST END WATCH CO…

1886年、スイスのサンティミエのアルシード・ドロー&サンズ(Alcide Droz & Sons)により設立される。アルシード社は当時イギリスの植民地であったインド市場への進出を目指していたことから、イギリスの流行発信地であるロンドンの中心エリア”West End”からその社名をとった。1917年にはジュネーブを本社を移しさらに生産規模を拡大、第一次世界大戦中には英国軍向けに約5万本もの腕時計を供給した。特に成功したモデルにイギリス領インド軍(British Indian Army)やインド高等文官(Indian Civil Service)向けに製造された軍用時計Sowar(ソワール:ヒンドゥー語で戦士の意)があり、軟鉄性のインナーケースを備えた堅牢なSSスクリューバックケースを用いることで高温多湿で塵埃の多い過酷なインドの地にも耐えうるタフで実用性の高いモデルとして広く支持を受けた。堅牢さへの追及は同社の大きな特徴であり、今日耐震装置として多くのメーカーに採用されているIncabloc(インカブロック)を時計メーカーとして初めて採用したことからもその先見性が伺える。

West End Watch CoのベストセラーモデルSowarの40年代の1本。こちらは当時のイギリス統治下のインド軍、いわゆるBritish Indian Armyに供給されていたもので、現地の塵埃が多く高温多湿というタフな環境を想定したミリタリーモデルです。この堅牢なケースを手掛けていたのは名門ケースメーカーフランソワ・ボーゲル(François Borgel)で、軟鉄性のインナーカバーを備えた防塵性、耐磁性の高い二重構造のSS製スクリューバックケースとなっています。特徴的なデザインを持つものが多いボーゲルケースの中では逆に珍しいオーセンティックなラウンドケースで、裏蓋には小さくブロードアローが刻まれています。美しいマーブル模様に経年変化したダイアルはシンプルなデザインながら太めのアラビア数字と5飛びのバーインデックスがアクセントとなっていて、ブルースチールのロザンジュ針との相性も良く力強い印象を受けます。ムーブメントはFHF30(Fabrique d’ Horlogerie de Fontainemelon,フォンテメロン)をベースにした手巻きキャリバーで、ブリッジを大幅に変更し流れるような分割ブリッジとしているほかテンプ受けには耐震装置(Incabloc)を追加、さらに全体に美しい粒金仕上げを施すなど非常にコストのかかった仕様となっています。

1940’s WEST END WATCH CO SOWAR “BRITISH INDIAN ARMY” ¥242,000-(tax in)

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