ZENITH…
1865年、ジョルジュ・ファーブル=ジャコ(Georges Favre-Jacot)によりスイス時計産業の聖地、ジュウ渓谷のル・ロックルに設立された時計製造工場Manufacture de montresからその歴史は始まる。ムーブメントまで含めて自社一貫生産をするマニュファクチュールとして高い技術力を誇り、中でも1969年に発表され今も改良を重ねながら採用され続けている自動巻きクロノグラフムーブメント「El Primero」は名機として名高い。さらに36000振動/時=10振動/秒のハイビートクロノグラフムーブメントであるエルプリメロは世界で初めて1/10秒単位の計測を可能としたムーブメントでもあり、精度追及の歴史そのものである時計業界にまさに革命をもたらしたのであった。現在の社名のZenithは1900年のパリ万博において金賞を受賞した懐中時計用ムーブメントの名前をとったもので「天頂」を意味し、世界最高の精度・品質を目指すというメーカーの精神を表している。
射撃やダーツの的を連想させることから通称”ブルズアイ”と呼ばれる2トーンダイアルが特徴のゼニスの手巻きモデル。ブルズアイは特に40年代に流行した意匠で様々なメーカーが採用し多種多様なカラーリングが存在していますが、その中でもこのブラック・グレーのダイアルはミリタリー然とした武骨な雰囲気が際立つ完成度の高いデザインです。厚塗りの夜光アラビアインデックスを備えたダイアルとペンシル針は良い塩梅にエージングしており、アンティークウォッチらしい枯れた味わい深さがあります。ケースはインナーカバーを伴った堅牢なステンレススチール製スクリューバックケースで実用性も十分です。搭載するのは美しい粒金仕上げが施された手巻きの名機Cal.126-6。ゼニスが創業したル・ロックルは別名「ウォッチ・バレー」とも呼ばれるジュウ渓谷にあり現在も多くの時計メーカーが拠点を置く時計産業の聖地として知られていますが、この地では伝統的な手法としてアマルガム法(水銀に金を溶かして対象に塗布し水銀を蒸発させて鍍金を施す手法)が用いられていた歴史があり、このムーブメントの仕上げもその手法によるものと思われます。
1940’s ZENITH BULL’S EYE ¥319,000-(tax in)
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