TISSOT…
1853年、スイス時計産業の聖地であるジュウ渓谷ル・ロックルにCharles-Félicien Tissot(シャルル-フェリシアン・ティソ)と息子のCharles-Emile(シャルル-エミール)が時計工場Ch. Félicien Tissot & Filsを設立する。まだ家内生産のメーカーが多かった創業当初からエタブリサージュ(établissage)と呼ばれる分業システムを導入し安定した品質・生産量を確保、アメリカやロシアへの輸出を積極的に行うなど着々と規模を拡大していく。1900年代に入ると近代的な機械生産方式を導入しさらなる効率化を実現、ムーブメントの自社生産も開始しマニュファクチュールとしての第一歩も踏み出す。1930年にはオメガとともにスウォッチ・グループの前身となるSSIHグループを設立し、組織内の関係性を生かして販売網の拡大を進めるとともに磁力による精度不良を防ぐ世界初の耐磁時計『Antimagnetique』の開発にも成功するなどその影響力は増していく。その後も生産工程の合理化が進められ近年ではフルオートメーションシステムで製造される次世代型自動巻きムーブメント『スイスマティック』を搭載したエヴリタイム・スイスマティックシリーズの発表は記憶に新しい。現在はトラディショナル・ウォッチカテゴリーにおいて世界一の生産量を誇る巨大メーカーとなっている。
ヴィンテージティソの代表的なモデルであるNon Magnetic(Antimagnetique)の中でもとても希少なポーセリンダイアルを使用した1本。ポーセリンダイアル、すなわち陶板ダイアルはクロックや懐中時計の時代にはよく用いられた技術でしたが現在ではほとんど見られないものとなってしまいました。理由としては高温で焼成するため割れやすい、焼成時に縮みが発生するため縮率を計算した絵付けをしなければならないなど非常に高度な技術が必要となるためで、製造技術が近代化し大量生産の時代になるにつれて徐々に衰退していきました。しかし、一般的なプリントダイアルと違い年月を経ても色褪せることのない艶やかで美しい乳白色のダイアルは筆舌に尽くしがたい魅力があります。クラシックなフォントのアラビアインデックスと青焼きされた武骨なロザンジュ針の相性は抜群で懐中時計をそのまま腕時計にしたかのような面持ちです。また、存在感のあるクッションケースはオールドステンレスの一種であるステイブライト製でマットで上品な輝きと質感が特徴です。ムーブメントは30年代から60年代にかけてティソの手巻き基幹キャリバーを担っていたCal.27を搭載。通常のCal.27にショックレジストと呼ばれる耐震装置を追加し、シンプルながら完成度の高いムーブメントです。
1940’s TISSOT NON MAGNETIC “PORCELAIN” ¥275,000-(tax in)
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