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SKINNINGLOBE SEASON #15

seya.の洋服はとても優しく、自然と心地良い気分になります。瀬谷さんは毎シーズン、どこかへ旅に行き、そこで感じた事などをコレクションに落とし込んでいます。見た景色や香りそこに住む人々、動植物。地球というプロセスを経て生まれた洋服だからこそ、生活している僕達にはとても心地よく感じるのではないでしょうか。

”人の美しさを出したい。人を美しくするのではなく。”

綺麗な洋服を着るから美しく、格好良くなるのではなくて着る人に内包されていたものが引き出されていると僕たちは考えていたので、今回のコンセプトは僕達にとって強く印象に残るものでした。とても素敵な文章でしたので、以下記載しています。1回目の入荷分は8/31(土)から並びますので、是非お越し下さい。

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24AWはドキュメンタリー写真への旅をしました。

SK’groveはイギリスの北ヨークシャー海岸にある、名も知れない、何もない、小さな漁村です。ここはドキュメンタリー写真家のChris Killipが1982-84年にわたってそこに住む人達を撮っていた場所です。

ずっとChris Killipの写真が好きで、いつかここに行ってみたいと思っていました。40年経った今もSK’groveは写真のままの空気でした。

表通りから隠れたところにある、時間が止まったような海岸。古くなった漁船が捨てられたように陸に置かれている、海藻が岸に打ち寄せられている、広い砂浜と岩だけの海岸が防波堤でちょうど二つに分けられているところです。冷たい風が吹いている。

Chris Killipがそこに通い、その空気と住人と顔馴染みになり、それぞれの性格と人生を知り、そうしてその人たちが永遠に生きるように、記憶として撮ったのがそれらの写真です。それぞれの人を認め、それぞれの人生に文脈を与えたい、と。そこには何の批評も干渉もなく、生の人間がいます。ある社会、脱工業化の暴力的な社会の終焉での日常の中の人たちでした。

Killipとの深い信頼関係で撮られた写真は新鮮です。美しい外見の人たちではないけれど、Killipの視点から捉えられた彼らは、見る人に暖かさ、時には悲しさを伝え、繊細で魅力的です。彼らは自分であることに自信を持って思う存分生きているように見えます。写真はそれぞれの彼ら自身がまとう空気を真っ直ぐに捉えている。

ドキュメンタリーの写真を考えた時、ファッションもドキュメンタリーのように捉えたいのだと気が付きました。その服を着ていると自分自身になれて気持ちがいい。自分であることを守られているような。自分を包んでいるものがある。個人的なスペースを守る服。Killipの写真の中の人達のように生で真っ直ぐできれいに見える。

人の美しさを出したい。人を美しくするのではなく。

Text by seya.


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