初めて出会った頃に比べると容姿が似てきたデザイナー二人が作り出す世界観がとてつもなく格好良い。毎回新作を見に行く度にワクワクしている。良い意味でいつも予想を裏切られるからだ。今回のコレクションはスナップボタンから着想を膨らましていったそうで、細かい部分や素材の使い方にも注目して欲しいと思っている。明日9/25(土)から1階に並べますので、是非お越し下さい。
”はじめまして”なので、どうしても長くなりそうです、どうぞ脇におやつでも(もしくはアルコールでも)置いてお付き合いください。2年ほど前にパリのパサージュという簡単に言うとアーケードのある商店街の様な空間をブラブラと歩いていると、ガラス越しにストールがツラツラと並べられていたのを見た。まだオープンはしていなかったので、ガラス越しに額をつけて覗いた。そこでsuzusanという名前を初めて知る事になった。その時は日本で作られているとは知らず、美しい色と心地良さそうな生地にただただ吸い込まれた感じだったのを覚えている。それから数年後、ありがたいご縁がありご紹介できる事となりました。
マークロスコという画家がいました。彼の晩年の作品は平坦な色面の広がりの中に微妙な色合いの長方形が重なり合い浮遊する。とても巨大なキャンバスに描かれた作品は穏やかで静寂な印象とともに心の中の何かを刺激し神秘的ともいえる魅力がある。その絵画に囲まれた時、なぜか心が休まる様な落ち着きさえも感じる。彼は、作品をファッション的に取り扱われる事をとても嫌った。洋服を選ぶ時に、難しく考える事をやめて、見て感じて良いじゃん!と、選ぶ事の重要性を思う一方で、このジャケットの奥にある物とは?色、形、素材、そしてそこには様々な思考と人が関わっている。もしかしたらファッション的ではない事を感じるのも大切にして欲しいとも思う。今週の1階は彼の作品の様な色が重なり合い浮遊する様な印象を与えてくれる、単純とはいかないアイテムを並べました。
PROJECT by Hは地球に元から存在する素材だけを使い、ほぼ全ての工程を自分たちで行っている台湾のブランドです。染色には天然染料を使い、今回はターメリックや墨を使用しています。時期や天候によっても色が微妙に変わるので、同じ物は一つとしてありません。ジャケットやシャツに使われているボタンは石を削り出した物ではじめは外すのも一苦労でしたが、今回は角が丸く削られており、着脱が格段にし易くなりました。定番品も細かい部分に改良が加えられ進化しています。彼らの作る洋服には”人”を感じる事ができます。とても安心感があり、ボロボロになるまで大切に着たいと思わせてくれる、そんな洋服です。生まれてきたものはいつか無に還ります。PROJECT by Hはその循環の中の1つであり、避けることの出来ない運命の中でも大きな力を生み出している様な気がします。
セットアップは持っていると非常に便利である。それぞれ単体でも使えるし、考えるのが面倒な時は合わせて着るだけで良い。COMOLIのセットアップはいつも丁度良い。若い人が着ると大人っぽく見えるし、年齢を重ねた人が着ると程良い抜けが出る。それがまた格好良くて。どの世代にもフィットするのがCOMOLIなのだ。そして気楽さもある。だから丁度良い。まだ暑い日が続くけど、これを着てどこに行こうかとかどんなコートを、靴を履こうか。そんな先の想像をするのも今の楽しみ方の1つではないだろうか。早く着たいという衝動を抑えながら。
上品な光沢のある生地とアシンメトリーなデザインがとても大人っぽいNobuyuki Matsuiの定番Tシャツ。そのTシャツに煙をコンセプトにデザインをして頂いた。煙のプリントは1000年以上の歴史を持つ墨流し。水面に墨汁を垂らし、細い棒で動かしたり風によって揺らぎを起こしたり。1つとして同じ柄は出来ない、偶然出来た流れをプリントする技法である。空気に漂う煙と水面に流れていく墨をリンクさせてデザインされたそう。そんな技法であるが故に、イメージする煙になるまで何度も失敗を繰り返し完成した。仕上がりを見た時はまるでお店が1つのデザインとして具現化されたみたいでとても嬉しかった。冬物が沢山入荷してますが、すぐに着れるTシャツはいかがでしょう?
INSIDE MY GLASS DOORSが出来た当初(作っている最中)からお店の前から写真を撮り続けています。インスタグラムにはその流れから動画を毎日アップしています。Nobuyuki Matuiの松井さんと今回のプロジェクトを進めるにあたりインスタグラムの定点観測の動画が好きと言って下さった。あれがINSIDE MY GLASS DOORSのイメージですっと。あれは、どうして撮っているのですか?と他の方にも聞かれる事が時々あるのですが、実はある映画のオマージュです。
洋服を販売する側にいると、欲しいと思っていても手に入れる事が出来ない場合が多い。勿論提案する事がお仕事なので当たり前なのだが、数年経っても頭の片隅に残っている洋服がいくつかある。その1つがこのコートである。展示会で見た時は触れる前にあの生地だとすぐわかり思わずニヤけてしまった。とても重く固いが羽織ると軽くて着心地が良い。数年着込んだコートをお客様に見せてもらったが、クッタリ柔らかくなり凄く雰囲気が出ていた。The crooked Tailorのコートは着ることによって育つ、長く着たいと思える洋服である。
ヨーロッパの古いシャツは丈の長い物が多い。その空気感や雰囲気に憧れて気に入ったものを見つけては買って着ていた。ここ数年は現代的な長さのシャツばかり着ていたせいか、このシャツを見た時に心が躍るような感覚だった。
今回の新作の鞄は薄くても強いという特性を活かし、クルクル丸めて小さく出来るようになっている。小さくしてジャケットのポケットに突っ込んだり、鞄の中に入れてエコバッグの様にも使える。旅行へ行く時にはトランクに詰め込んで旅先でのメインバッグとして。使える場面が多いという事は経年変化を存分に楽しむ事ができる。このRitualというホースレザーは布のバッグの様にクッタリとしてくるそうだ。ショルダーにはフランス軍のベルトを使っていて、レザーとのコントラストがとても良い。使う事が楽しくなりそうな新作である。