ヘッケルスのお店には色々な理由で香りを求めてご来店くださる。リラックスしたいというお客様は多いのだが、気持ちを高めたいという方もおられる。部屋の模様替えのように香りを変えると新しい気分になれるという。香りを変える方と同様に同じ香りをリピートする方も多い。儀式のように1日の始まりに或いは、終わりにキャンドルを灯す。ほんの少しの時間だがキャンドルがあると自分と空間と向き合う事ができる気がする。事務所を立ち上げるにあたり香りを買ってくださった方。落ち込んでいる友人へのプレゼントに。新月に、新しい香りを。などなど香りを灯すきっかけも様々だ。目や耳で情報が必要以上に入ってくる世の中に、香りで想像するという事で脳はいつもと違う動きをする気がする。例えばだけど、森の中に入ると目を瞑りたくなる、もしくは海辺で聞く波の音を聞く時もそうだ。それと似ている気がする…..そういう向き合う時間が必要なのかもしれないとも最近思う。
洋服はバランスが取れているようで取れていない部分があり、その不均衡さが逆に良かったり面白かったりします。左右で非対称、独特な膨らみ、染め方やプリント、見た目はそうでもないけど思考の部分。そのアンバランスを組み合わせて自分らしく変化させていくのが洋服の楽しみでもあります。という訳で、今週の一階はアンバランスです。そんな洋服と合いそうなものを一階には展示しています。ぜひご覧ください。
柔らかいものとか古着とか、ラフな物を着ていると少しカチッとしていて綺麗に見えるものを着たくなる。それは辛いものを食べると甘いものを食べたくなるような、そんな感じで。オマールのTシャツはかなり度詰されたしっかりとした生地で綺麗なシルエット。まるでジャケットを羽織っている様な肩に乗る感覚が新鮮で単体で着ても様になり、ジャケットやシャツの下に着てもしっくりくる上品な1着。
晴れた日や曇りの日、雨の日には光が少なく服の見え方が少し違っているように感じた。よく観察してみるとそれぞれ表面に凹凸があり、光の当たり方によって色の雰囲気や表情が微妙に異なっている。それは手織りの生地でもあり機械で織られた生地でもあり、肌に触れた時は心地が良いものやドライに感じるもの、ガシッとしていて着込みたくなるような生地と様々ありました。という訳で今週の一階はテクスチャーをテーマに並べています。ぜひご覧下さい。
OLIVER CHURCHはパリを拠点に活動しているブランド。ニュージーランド出身のデザイナーはロンドンで5年ほど活動し、パリに拠点を移しブランドをスタートさせた。洋服に使っている生地はフランスの50-120年前の古いデッドストック生地で使っているボタンもフランスの古いデッドストック。そしてデザイン、パターン、縫製、染色(一部を除き)を一人で全て手作業で行っている。染めは天然染料のみで染色し、水が無駄にならないよう染色のミニマムまで設けている。主観ですが1つ1つをゆっくりと時間をかけ丁寧に、自分のペースで作る事が彼のモットー。要するに大量に作れないし、作らない。使われる事なく眠っていた素材に新たな価値を見出す。そんなプロセスを大切にしているブランドです。
今年も早いもので最後の営業日となりました。振り返ると(毎年ですが)お客様やメーカー様に支えられた楽しい一年でした。沢山の面白い事や面白いものを共有する事ができたと思っています。ありがとうございました。年始は1/3からオープンです。新作が並びますので、是非お越しください。2024年も皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。良いお年をお迎えください。