イタリアの田舎町で見つかったスペイン製のバーバリー。1980年代頃のもので、富裕層向け(女性用)に仕立てられたリゾートウェアと推測されます。地中海を思わせる潔い白がとても珍しい1枚。機能的な作り、数箇所に施された刺繍のアクセント。とても洗練されたデザインのハリントンジャケット。生地が良い感じに柔らかくなっているので初めから小慣れた雰囲気で着用できる。そして総裏なので秋口のアウターとして新鮮に感じるかもしれません。
元テニスプレーヤーであるセルジオタッキーニのポロ、1980年代の紙タグ付きのデッドストックです。素肌に羽織りたくなるくらいに着心地の良い鹿の子。珍しいフルオープン仕様はポロとしては着脱がし易く着用頻度が高そうな気がします。コートやジャケットの差し色として。一枚でも様になるイタリアの美しい赤は一目見て手に取っていました。乗っている車は赤、テントと椅子と机の足も赤、Tシャツやスウェットも赤。自分では気付いていませんでしたが、どうやら赤が好きなようです。
柔らかい。優しい。そんなイメージが湧いてくるピンク。様々な色と馴染みがよく、実は使い易い色。このシャツの色を例えると淡いピンク、サーモンピンクの手前くらい、茜染め(madder dye)されたピンクのようにも見える。1980年代イタリア”OCEAN STAR”のプルオーバーデザインのシャツ。古いフランスのワークウェアから着想を得たのでは?との事。フロントのレーベル名の刺繍、アクションプリーツ入りの胸ポケット、ヨークのいせ込みや美しいピンタック、など随所に拘りのある作り。生地はハリがあるけどスベスベ滑らか。イタリアの生地は素晴らしいと改めて感じました。
シャツではあるけれど、コートを羽織っているような満足感。
2010年、彼との偶然(今考えると必然だった)の出会いから動き出したLILY1ST VINTAGE。洋服を作るのはなく、”洋服を選ぶ”ブランドです。独自の審美眼によりヨーロッパで見つかった洋服の中からさらに僕が選んでいます。
『もともとシワシワなので旅先にも持っていき易いです。』
上質なシャツのはずなのに、とても日常的でラフに着れる。気取っている訳でもなく、僕たちに寄り添ってくれる。これから先もずっと着続けていく、着続けたいと思える洋服。
なんだか懐かしい感じがした。久しく穿いてこなかった形でもあったから新鮮にも感じた。でも僕の中ではいつでも肯定されている形だったからすんなりと受け入れる事ができた。少しテーパードの効いた丈の短めなパンツ。日本のモンペから着想を得たらしく、そのままという訳ではなくタキシードパンツのような古いトラウザーズの雰囲気、ワークウェアの要素もある。今からでも穿けるライトオンスの味のあるデニム。『これは良い色落ちしそうですね!』とデニム好きの方も太鼓判でした。
和歌の伝統的な技法である本歌取り。そこから着想を得たのが今回のコレクションです。人は無から有を作り出す事はできるのだろうか。実はそんな事はそもそも出来ていないのではないのか?ハッとされられる視点。様々な事柄が内包されている洋服たち。詳しくは本と一緒に洋服を見ながらお話しできればと思います。
80’sに出回っていたデニムを太過ぎず細過ぎずの独自の解釈と現代人の体型や骨格を細分化して検証し作られた新しいスタンダードなデニムパンツ。生機デニム(防縮加工を施していない)なので、ヴィンテージのような経年変化を楽しめる。サイドに丸みを持たせる為のミリ単位で耳を摘みながら形成したストレートシルエット。サイズによって微妙に変えているらしく、実際に穿いてみるまではなかなか理解が出来なかった。ジャストで穿いてもサイズアップしてもしっくりくるのは不思議な感覚。デニムは自分にって、お店にとっての最高を常に追い続けている気がする。だからお店に並ぶデニムはどこかに最高と思えた部分があるのです。
アルプス山脈のチロル地方にて放牧の際履いていた靴が原型と言われているチロリアンシューズ。平坦ではない道や傾斜のある所での作業に適していた事を考えるとワークウェアの1つなのかもしれない。オイルをたっぷり含んだホースレザーを表裏で使っており、グリップ力のある吸盤状のビブラムソールで地面が濡れていても安心。着脱可能なカップインソールはフカフカでまるでスニーカーの様な履き心地。実際に履き込んでみて、革の経年変化の素晴らしさや歩行のし易さからオーダーしました。服の色によっては黒い革靴だとコントラストが強くなり過ぎる事が多く、茶色は個人的にオススメな色。『茶色の革靴持っていなくて』、『茶色って結局1番履くんですよね。』・・・そんな方々が選ばれています。