軽いと聞いていながらも実際に履いてみると軽い!とびっくりされるのがAFOURのオロンゴ。ロシアはサンクトペテルブルクの工房でとても丁寧に作られている。素材は防水のオイルドヌバックレザーにマット加工で雰囲気が良い。色はCODEと同じマットブラック。穿き込む程に艶がどんどん増してくる。そして優しくしっかりとホールドされ、その包まれる感じが心地良く、どこまでも歩けそうな気がしてくるから何とも不思議なスニーカーだ。デニムは勿論、ウールパンツとの相性も良い。季節を選ばず、使い勝手が良いので履く頻度が非常に高くなるでしょう。
カーディガンには目がない。春でも夏でも秋でも冬でも。その時に出会った良い!と思えたものは買い付けてしまうし、欲しくなってしまう。ジャケット程仰々しくなくて、脱いだり着たりが楽。アウターにもなるしインナーにもなる。使い勝手が良くてつい手に取ってしまう。Slopeslow最後の一品はヤクとシェットランドウールの少しロング丈のカーディガン。その素材をフェルトになる直前まで縮絨したらしい。フワッと柔らかいけど、固さも残っていてしっかりしている。カシミヤセーターの様に着込んでみたくなる、そんな風に感じた素材。着て、ブラッシング。それの繰り返しで見えてくる美しい経年変化。温かさと共に楽しめます。
フラッシュたいてみて。ってCLASSのデザイナーの堀切さんに言われて店主が着たところをパシャって撮ったら、『うわっ!』って声が出た。『やばいよね〜』って白く体だけが光った店主を見てニコり。一見するとクラシックな千鳥格子の生地だけれども鮮やかなウールで出来たファーが首にある。で、この生地にリフレクターが編み込まれている。ショートでもなくロングでもなく程よい丈でスポーティーなのか?クラシックなのか?カジュアルなのか?フォーマルなのか?もう、どの場面でも許されそうな気がする。で、コートってもちろん着るためのモノなのだが、私は、脱ぐためのモノじゃないか?と思っている。(これを話すと長くなるのでまた今度)で脱ぐ時や持った後に見える裏地がウルトラスウェードのニットなのだ。これが軽いし心地よいフワッと加減。なんだか、忘れていた服が好きっていう単純な気持ちを思い出せてくれる。気分が上がる。あるいは上げる。そんな服が本当に存在するのだ。この世の中には。あと、冬に酔っ払って帰る夜道はこれで安全ね。
今週の1階はクローゼットの様に….をテーマにしてみた。ある人はアイテム毎に並べているらしい。ある人は色ごとに並べているという。出番が多いのが手前にしていたりする。人それぞれなクローゼットをINSIDE MY GLASS DOOSのセレクトから勝手にその持ち主を想像しながら、並べてみました。今週は気分によってコロコロと変えてみようと思います。では、ニットやコートも揃いました。皆様のご来店お待ちしております。
1960年代のシアーズのプライベートブランド(以下PB)であるTraditionの2レジスタークロノグラフ。ホワイトダイアルにブラックのインダイアルを備えた通称”パンダダイアル”と呼ばれるデザインの1本です。特に目立つ装飾こそありませんが堅牢なスクリューバック仕様でエッジの効いた無骨なケースラインはシンプルながら力強さも感じさせます。搭載するValjoux7730は傑作クロノグラフムーブメントを数多く生み出したVenus社のCal.188の流れを汲むムーブメントで、近代的なカム式クロノグラフの先駆けともいえるムーブメントです。近年は日本でも小売店や卸業者が企画・開発し販売するPBはとても身近なものになりましたが、小売業が早くから発展していた欧米ではより歴史も長く、古くは1844年にイギリスのロッチデールで設立された「ロッチデール公正開拓者組合」まで遡り、質の良い生活必需品を適切な価格で提供するという目的で独自に仕入れた商品に固有の名称を付けて販売していたのが始まりだという。シアーズも1900年代初めにはPBを導入しておりUSのヴィンテージウェアが好きな方は「Hercules」や「Pilgrim」といったシアーズのPBを目にしたことがあるかもしれません。このTraditionもシアーズのPBのひとつで時計や衣類、カトラリーといったアイテムを展開していたようです。ダイアル下部にある「STELLARIS」というのもPBのひとつのようでこちらは腕時計を中心に展開しており、中にはSeikoが製造した手巻きや電磁テンプムーブメントのモデルも存在しているのですが、PBごとの商品ラインナップがどのようにカテゴライズされていたのかははっきりとはわからず、このTraditionクロノグラフもどうしてSTELLARISとのダブルネームとなっているのかは不明です。ブランドがどうであれ非常に完成されたデザインで美しい時計ではありますが、より魅力を引き立てるエピソードとしてこのモデルはクロノグラフをはじめとするスポーツウォッチの名門として知られるHeuer(現Tag Heuer)によって製造されたのではないかと言われていることがあります。シアーズがPBとして販売していた時計は様々なメーカーによって委託製造され、その委託先は先述のSeiko以外にもSicura(Breitlingの前身)やHeuerなどがあったとされています。特にHeuerとの関係は強く「ALLSTATE」という自動車関連用品を扱うPBではHeuer製とされるダッシュボードタイマーがあったり、70年代に入り時計市場を席捲していたクオーツ時計に対抗すべくより安価で若い世代へとアピールできるモデルとして開発されたEasy RiderというクロノグラフがSears銘で販売されたりもしていました。こういった経緯もこのモデルがHeuerによって製造されたと言われる理由のひとつですが、さらに6時側ケースサイドに刻印されている『7723』という番号を調べてみると同じ7723というリファレンスナンバーでケースやダイアルなどのデザインや搭載するムーブメントも全く同じモデルがHeuerに存在するのです。こういったHeuerブランドの時計と全く同じデザインのモデルがZodiacやDugena、Clebarなどのメーカーに存在することが知られており、特に欧米ではヴィンテージウォッチのひとつのジャンルとして熱心なコレクターがいるほどの人気があります。明確な資料が無いためあくまで「このような一説がある」と言うに留めますが、かつて一時代を築いた今は無きアメリカの老舗百貨店にこのような時計が並んでいたのだという興味深い歴史性は間違いなくこの時計の大きな魅力でしょう。
丸みを帯びたコクーンシルエット。5PKT TROUSERSと同素材でずっしり重量があるが、羽織るとその重たさをあまり感じないコート。深いネイビーに真っ白なボタンが映え、一つだけブルーが効いている。良いコート(自分にとって)は羽織った瞬間に体が反応してしまうというか、理解をしてしまう。これだ!と。実際にご購入されたお客様は試着時には『これはマズイ。』という心の声が聞こえてきそうな顔をされていた。しっくりくると脱ごうとしない。そんな出会いは貴重だ。
ダブルから少しずれた様なフロント、丸襟。それは少しミリタリーの香りがして、ちょっと可愛らしさもあって。さらに仕立てが素晴らしく、肩がしっかりと収まり背筋が伸びるような着心地。そしてCHINATI TROUSERSと同素材のコーデュロイは品がある。そんな色々な要素が混ざり合って面白く、着方や着る人によって印象の変わるジャケット。
もう10年くらいでしょうか。お客様に長くお使い頂いているそのみつの靴。オールソール交換は2回しました。革は柔らかくなりサンティアゴ特有の良い艶が出ていました。オンオフどちらも履いているそうで、きっとご自身の足に完全に馴染み、足の一部になった様な感覚になっているのではないでしょうか。綺麗に履き込まれた靴を見ていると、革靴はやっぱり良いなぁと思います。年齢を重ねると共に革靴も育っていくのです。
ラジオからコテコテの大阪弁で天気予報が流れてくる。今週水曜日から真冬になるらしい。確かにニットは普通に着れるようになってきた。街を見渡すとコートを着ている人が多い。やっと!という思いと、あのキーンとした寒さに果たして耐えられるのだろうか、という不安が頭をよぎるが準備は万全に越したことはない。
帽子。僕はアクセサリー感覚で使う事が多い。指輪やバングル、時計を選ぶのと同じように。ある程度バリエーションがあると服の色との組み合わせを考えたりするのも楽しい。お店では帽子のブランドを探し続けていたが、クルーキットテーラーが作ってくれる様になってからは探すことは無くなった。なぜなら彼の作る帽子が本当に素晴らしいからだ。店頭で説明すると『ここまで拘らなくても良いんじゃない?』とお客様達は揃っては仰られる。確かに見た目にはそこまで変わらないかもしれない。でもきっとこうじゃなきゃクルーキットテーラーではなくなってしまう。ここまでやり切っているからこそのクルーキットテーラーだ。