PROJECT by Hは毎回染めが面白い。今までにはインディゴや墨、玉ねぎの皮を使っていた。天然の染料である事と染める季節や天気などにも左右される為、サンプルや生地スワッチで見るのと実際に洋服になったのでは、想像していた色と違う事もある。だからお店に届いて箱から出す時はドキドキではなくワクワクする瞬間だ。今回の新型のスタンドカラージャケットは空気を含んだような柔らかいリネンにターメリックと墨を使って染めている。この色も良い意味で想像を裏切られた色だった。何とも言えない曖昧な色。墨の少し暗い部分もあり、ターメリックの黄色も所々見られる。そしてそれらが合わさってカーキの様にも見える。何色と表現しにくい、とても美しい色だった。きっと同じ色をリクエストしても全く同じ色にはならないでしょう。一点物という訳では無いけれど限りなく一点物に近いジャケットだと思う。着心地は立体的で大胆な設計で心地良く体にフィットする。アームもスッキリしていて上からコートを羽織っても、もたつく事なく着れるので真冬も活躍しそうだ。フロントは裾に向かってカーブしたサックコートを思わせる作りでボタンは石の削り出し、ボタンホールは手縫いで仕上げている。ポケットはフラップ仕様。染めだけではなく、かなり作り込まれていて人の手を感じられるジャケットである。
どう着るのか、どこに着て行こうか。そんな事すら考える必要が無く、とりあえず買ってからどうにかすれば良い。そんな風に思える洋服に出会う事が稀にある。案外着てしまえば何とかなる事が多く、そういった洋服は結局の所気に入っていて、いつまでもクローゼットに並んでいる。CLASSのDURIANは軍物のライナーからのデザインだがこれはライナーではなくアウターだと思う。中にジャケットやニットも十分着れるし、暖かい。リバーシブル仕様で裏っ返すと綺麗な玉虫色のコットンギャバが表にきて、全く違う印象になる。1枚で2倍のジャケットだ。先日お客様が『秋口には背負うジャケットですね。』と仰られていた。その理屈からいくと、1枚で3倍楽しめるジャケットという事になる。楽しみ方はそれぞれ、実際に使ってみて発見できる事も多いでしょう。
レザーのパンツには興味があったけど、中々手を出せないでいた。なぜかと言うと、足にフィットする物が多い事と気軽に洗う事が出来ない事がネックだった。そんな中、数年前にCLASSが初めて洋服にウルトラスエードという人工皮革を使った。透湿性に優れて丈夫、そして気軽に洗濯が出来た。さらにデザインも良くてリラックスしたシルエット。自分の中ではこれはもう革命でした。仕事の日も休みの日もよく穿いていて、もう手放せないでしょう。今回のMUKUは表面が銀面のコーティングされていて、さらにクロコダイルの型押しが施されている。でもギラギラしていない、良く見るとわかる程度の型押し。そのバランスが凄く気に入りました。ストンと落ちるストレートなシルエットでウエストはゴムとドローコード仕様。程良くリラックスできるパンツだ。裾を折り返せばスエード面が見え、素材感の差異を視覚的にも楽しめる。レザーパンツに見えてレザーパンツじゃない。家でも外でも場所を選ばず、気楽に穿ける。気楽なのに気分が上がる。それがCLASSです。
”はじめまして”なので、どうしても長くなりそうです、どうぞ脇におやつでも(もしくはアルコールでも)置いてお付き合いください。2年ほど前にパリのパサージュという簡単に言うとアーケードのある商店街の様な空間をブラブラと歩いていると、ガラス越しにストールがツラツラと並べられていたのを見た。まだオープンはしていなかったので、ガラス越しに額をつけて覗いた。そこでsuzusanという名前を初めて知る事になった。その時は日本で作られているとは知らず、美しい色と心地良さそうな生地にただただ吸い込まれた感じだったのを覚えている。それから数年後、ありがたいご縁がありご紹介できる事となりました。
労働着(仕事)としての白いシャツ、休日に着る白いシャツ。白いシャツは世の中の人達にとって最も身近な洋服の1つでは無いでしょうか。コモリの定番であるコモリシャツは洗い晒しがよく似合う着ていてとても楽なシャツ。羽織ると体と服の間に程良い空間が出来て、体が優しく包まれる。それはまるで空気を纏っている様に軽く、シルケット加工された柔らかいコットンは素肌にも気持ちが良い。そして不思議と肩の力が抜けて、リラックスできる。でも見た目はちゃんとしたシャツで・・・。そんな空気感がデザインされているからこそ、誰かにとっての定番で有り続ける理由なのでしょう。
クラシックな雰囲気のツイードにナイロン糸を織り交ぜた素材、光の当たり具合によって少しキラキラする。ゆったりしたテーラードジャケット??ジャケットではあるけど、コートの様でもある。肩がグッと落ちて、まるで古いヴィンテージのコートを羽織っている様な感覚になる。ゆったりしているから中に色々着る事ができて、どうやって着ようか頭の中をグルグルと掻き立てられる。洋服を前にして一呼吸置いて、そして何度か着ていく内に本当に意味で自分の物になる。それがまた楽しいし、気分が上がる。CLASSとはファッションをファッションとして純粋に楽しめる洋服ではないでしょうか。
シンプルなプルオーバーベスト。ジャケットと同素材のツイードで中にダウンが少し入っていて暖かく、サイドのジップを開閉して着脱する。この言葉だけだととても機能的で都会的なベストだと感じるがタンクトップの様なデザインに違和感を感じ、そこが気になって気になって仕方なくなりお店に並べる事にした。クタっとしたシャツでもジャケットの上でも下でも、ボロボロのスウェットでも、何故かバランスが良くて上品に見えた。そしてその違和感がちょっと面白く、何か良いなと思わせてくれる。絵に描いたような平面的な見た目とは裏腹に実はとても使い勝手が良いベストなのだ。そして持っていて良かった、と思える時が来るような気がする。
先に紹介したパンツと、同じ生地のジャケット。(生地についてはパンツの記事をご覧ください)こちらは、カーディガンの様にラフに羽織れるジャケットです。カーディガンの作りの様なジャケットという方が正しいのかな?色々と考えすぎると頭の思考が絡まる時がある。その時に深呼吸して頭の中を無にしたら良いと聞いたことがある。でもどこかしらで、あ、冷蔵庫の中の牛乳、賞味期限大丈夫かな?なんて事が頭の中にやってくる。”無”だ、”無”だと再び深呼吸。数秒すると、あ、段ボール捨てなきゃ。とか。頭の中は本当に色々と日常に支配されている。ふと、いや、それで良いのではないか?と思った。カーディガン?ジャケット?何と合わせる?丈はどうだろうか?似合うかな?映画を見に行く時に着る?今度の打ち合わせの時に着る?こんなイメージで着たいなーって。そんな事考えるのが楽しかったりするわけで。それは、自分ごとで。自分が着たい様にあれこれ考えて。このジャケットを自宅に持ち帰った後、そんな楽しみを久々に味わって見るのは良いのではないでしょうか?
時々、気を抜きたくなる事がある。職場も自由になってきたけれども、スウェットというわけにもいかない。そんな声を聞く。なんでも良い訳ではない。出来れば気に入った物を身に纏いたい。なぜならその日のテンションが変わるから。テンションが上がりっぱなしというのも疲れるけれど、決して落としたくはない。絶対に。なぜならその日のテンションがやっぱり変わるから。なんとまぁ、ヒトというのは勝手な生き物なのでしょう。さて、このパンツの説明です。サイドに切り替えがなく、センタープリーツの様に縫い目が前にきているので色々と騙される。サイドがすっきり見え、センターに筋が通ると足がすらっと綺麗に見える。それに程よく太いがその”騙し”ですらっと見える。ウエストのバッグがゴムなのも動きやすく良い。そして私は知っている。この手のパンツは頻度高く穿く事を。
他には無いデザインと雰囲気が楽しいPROJECT by HのEDEN。初めてデザイナーと会った時に穿いていてどうにも気になって仕方なくなり、今では自分でも週に何回か穿く程好きになった。股上はとても深く大胆なパターン。普通のデニム2本分位は生地を使っている。さらに今回は16.5ozとかなり重たい。初めはハリが強いが馴染むととても綺麗なシルエットになる。非常に濃いインディゴブルーは育て甲斐もあり風も通さないので真冬も問題なく穿けるでしょう。フロントは石の削り出しボタン、トップのみボタンホール仕様でそれ以下はループで留める。前々回は全てボタンホールだったが、あまりの硬さに開け閉めが容易では無かったので、改良されたと推察する。他にも色々あるが、書ききれないので実際に見て楽しんで欲しいパンツだ。見れば見るほど、穿けば穿くほど発見のあるデニムだ。
マークロスコという画家がいました。彼の晩年の作品は平坦な色面の広がりの中に微妙な色合いの長方形が重なり合い浮遊する。とても巨大なキャンバスに描かれた作品は穏やかで静寂な印象とともに心の中の何かを刺激し神秘的ともいえる魅力がある。その絵画に囲まれた時、なぜか心が休まる様な落ち着きさえも感じる。彼は、作品をファッション的に取り扱われる事をとても嫌った。洋服を選ぶ時に、難しく考える事をやめて、見て感じて良いじゃん!と、選ぶ事の重要性を思う一方で、このジャケットの奥にある物とは?色、形、素材、そしてそこには様々な思考と人が関わっている。もしかしたらファッション的ではない事を感じるのも大切にして欲しいとも思う。今週の1階は彼の作品の様な色が重なり合い浮遊する様な印象を与えてくれる、単純とはいかないアイテムを並べました。
以前ご紹介したTRAVEL PANTS SMOKY HERRINGBONEと同じく、スモークヘリンボーンと名付けられた生地のジャケット。見る角度により見える色が変わるユニークな色だが、その色バランスがスモーキーで落ち着いた印象を与える。もちろん生地はしっとりと心地よく肌に当たってもストレスを全く感じない。丈が少し長めなクラシックな1つボタンで拝みボタンになっている為右前、左前どちらでもボタンを閉める事が出来る。セットアップでビシッと決めるのも、単体使いでラフなパンツと組み合わせてみたり・・・、どちらも気分が上がるのではないでしょうか。